第17回 スコットランドの羊、温暖化で小型化!

ウール製品を洗濯する際、熱いお湯で洗うと縮みやすいのをご存じでしょうか。羊の毛は巻き毛になっています。ニットにする時には蒸気や熱でこれを真っすぐにしているのですが、洗濯でお湯を使うと、そのヨリが戻ってしまい縮んだように見えるのです。

これはウールについての話ですが、実は似たような現象が、実際の羊の体にも起こっているとか。科学者によると、昨今の温暖な気候が原因で、羊の大きさが小型化しているというのです。今回は、そんな驚きの現象についてご紹介します。

英タブロイド紙デイリー・メールのオンライン版「メール・オンライン」によると、科学者はスコットランドの西側約190キロに位置するセント・キルダ諸島のハータ島に生息する野生羊について、たび重なる暖冬の影響により、過去23年間で体が小さくなっていることを突き止めました。この羊はソーア羊と呼ばれ、長い足と刈らずに摘み取れる黒褐色の毛が特徴です。科学者はこの発見が、気候変動が短期間のうちに、動物の大きさや形を変えてしまうことを初めて明らかにしたものと指摘しています。

■体重が5%減少

ハータ島のソーア羊のサイズが小さくなっているという不可解な現象は、2007年に初めて確認されました。ソーア羊は、家畜羊の野生原種に近い品種です。頑丈な体を持ち、居住者が島を去った1930年辺りから野生種として繁殖を始めました。

英国ロンドンの公立大学インペリアル・カレッジ・ロンドンのティム・クールソン教授が率いる生物学者チームは、ソーア羊の詳細な科学的記録を、1986年にまでさかのぼり研究しました。それによると、ソーア羊の平均体重は23年前と比べ5%減少していることや、成長速度も23年前と比べ遅くなっていること、また最も体の小さい子羊が大人になるまで生き延びる確率が、以前よりも高くなったことが分かりました。

クールソン教授は「気候変動による影響で、現在は食料となる草がより長い期間得られるようになった。そのため生き残りをかけた戦いがそれほど厳しくなくなった」と指摘。そのため以前は寒さの厳しい冬を乗り越えることができなかった成長の遅い羊でも生存率が上がっており、これらの羊が繁殖を繰り返すことで、ソーア羊の平均サイズが全体として小型化してきたと述べました。

同教授は今回の研究結果を、「進化的変化と環境的変化が特定の生物に与える影響をひもとく重要な発見」と強調しており、今後も気候変動が別の動物に及ぼす影響について、研究を行っていくとしています。

セーターが縮む減少とは異なりますが、気候変動が生物の大きさに影響を与える驚きの発見と言えそうです。

 

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