第22回 手乗り羊はいかが? 羊の小型化に挑戦!

ミニチュア・シュナウザーやミニチュア・ダックスフンドなど、日本では小型化された犬種がペットとして根強い人気を誇っています。前者はもともとは農場のネズミを、後者はキツネやウサギなどを捕るために小型化されました。

しかし小型化されている動物は犬だけではありません。ザ・ランド紙によれば、ビクトリア(VIC)州サマービルでは、手乗りサイズの羊が生産されているというのです。この羊は「チェビオット」という品種で、英国のイングランドとスコットランドの境界にあるチェビオット丘陵周辺を原産とする羊です。今回は、そんな手乗り羊が開発された経緯についてご紹介します。

VIC州で牧羊を営むEligio Bruzzeses氏は1985年、チェビオット羊を購入し、メルボルン南東に位置するサウス・ギプスランドで牧場経営を始めました。これらの羊は体が丈夫で、小高く降雨の多い場所でも順調に育ったことから、同氏は牧羊業を商業化して4年ほどで、サマービル付近のモーニントン・ペニンシュラに、4ヘクタールの繁殖場を設立しました。

しかし同氏の挑戦はそこでは終わりませんでした。1990年代後半に、米国で小型化された羊、特に小型のチェビオット羊が人気を博していることを知ると、同氏も自身が経営する繁殖場で、同様の羊を開発することを決めたのです。

■豪州初の試み

チェビオット羊の小型化は、当時のオーストラリアでは初の試みでした。豪種羊繁殖者協会(ASSBA)が発行するチェビオット羊の繁殖基準には、小型のチェビオット羊のサイズが明記されておらず、そのため米国の基準が参照されました。

米小型チェビオット羊繁殖者協会(AMCSBA)の規定では、◆成長した小型のチェビオット羊(約2歳)は、毛刈り後に背中の高さが58センチ未満であること◆成長した雌羊の体重は20〜40キログラムであること(雄羊の場合は45キロまで)─などと定められています。

■小さいサイズを掛け合わせ

同氏は、小型のチェビオット羊の開発方法について「体の小さい雌羊と雄羊を掛け合わせることを優先的に行ってきた」と説明。同時に、チェビオット羊が持つ、体が丈夫で飼育・管理が容易な側面など、従来の優れた質を損なわないよう細心の注意を払ったといいます。

同氏はまた、羊の健康が損なわれない限り、体の大きさは小さい方が良いと言います。小型のチェビオット羊の羊毛繊度は28〜32ミクロンで、これがスピニングに大変適していることがその理由の一つです。また小型のチェビオット羊は、食肉にもなります。

ただしこれらの小型化されたチェビオット羊は、生まれた時のサイズがとても小さいため、生後1週間はキツネなどの野生動物から襲われやすいため、世話には慎重な姿勢が必要です。

■むやみな小型化は危険も

動物の小型化は歴史的に見て、より体の小さい獲物の捕獲を可能にするなどの目的がありましたが、一方で愛玩目的で小型化されてきた場合もあります。

最近では、ブルドッグの行き過ぎた改良や、プードル本来の目的が損なわれたティーカッププードルの出現などが問題視されています。小型化には限度があり、行き過ぎは健康面へ悪影響を及ぼしかねないことから、目的のない小型化は避けられるべきです。

 

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