第18回 畑や歴史も味わおう!ワインライターのテリーさん

カンタス航空での仕事を通じてワインと出会い、その背景にある「ストーリー」への興味から、30年以上にわたりワインの勉強を続けているテリー寺本(Teri Teramoto)さん。ワインライターで、教育者でもあるテリーさんに話を聞いた。

テリーさんは1964年からの客室乗務員時代、機内サービスでワインの知識を持つ必要性を痛感。当時は英語の文献しかなく勉強に苦労したが、休みのたびにワイナリーをめぐり、生産者と親しくなって知識を深めたそうだ。

きっかけは仕事だが、ワインの勉強を長く続ける原動力となったのは、「誰が、どこで作ったのか」という背景への興味。特に有名ワイナリーの初代やその家族の歴史は「ワインのキャラクターにも影響する」こともあり、強く心引かれるという。

ワイナリーは同じ場所を何度も訪れる。毎回違う話を聞くことができ、「終わりのない勉強」だそうだ。特に印象に残るワイナリーを聞くと、南オーストラリア州のヘンシュケ(Henschke)との答え。自らの食料確保から始まった初代の苦労や、ラベルに名が残る四代目シリル・ヘンシュケ氏の波乱の人生などが強く心に残るという。

■記憶に残る体験を

テリーさんは教育者として、レストランで働く人などを対象に基礎知識を教え、ワイナリーにも連れて行く。心がけているのは「一点集中主義」で、「一つでいいから記憶に残る経験をしてもらうこと」だ。

ハンターバレーでは到着後、喉が渇き一番印象に残る一杯目のテイスティングで、一番良いセミヨンを出してもらう。「訪問産地の代表的な品種、ハンターバレーであればセミヨンがどういう味なのかを覚えてもらう」ためだ。ほかにも、畑でワイン用ブドウを試食し、食用ブドウとの味の違いを比べるなど、記憶に残してもらうための工夫を続けている。

■豪ワイン「無視できず」

日本ではワインといえばフランスを中心にヨーロッパ産が主流。再三の呼び掛けにも関わらずオーストラリア訪問に応じなかった日本ソムリエ協会が2年前、ついに来豪した。テリーさんがアテンド役を務めたが、方向転換した理由を聞いたところ「オーストラリアワインを無視できなくなった」ためだという。優れたコストパフォーマンスが消費者に人気なのもあるが、フランスワイン重視だった協会幹部が代わったことも背景にあるようだ。

テリーさんがかつて目にした日本のソムリエ試験では、オーストラリアワインに関する質問はたった一つ、「マーガレットリバーはどこにあるか」というものだった。また、有名ソムリエが書いたオーストラリアワインについての文章で「バロッサの隣のハンターバレーでは」という記述を見つけ、唖然としたこともあるという。

テリーさんはライターとして、これまで主に日本人旅行者向けに記事を執筆してきたが、培ってきた経験や知識を生かし、オーストラリアワインを紹介する書籍を近くまとめたいと考えている。

 

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