第51回 リサイクルをもっと身近に!テラサイクルのオッシラさん

2001年の創立で現在は世界21カ国で事業を展開し、リサイクル業界の「グーグル」と評される米国企業テラサイクル(TerraCycle)。約2年前の「第8回 純子の根掘り葉掘り」に登場した、同社オーストラリアとニュージーランド(NZ)部門で働くオッシラ・サナポンサコーンさんに、その後の事業の進ちょく状況や、日本訪問の様子などを聞いた。

オッシラさんはテラサイクルのオーストラリアとNZ部門で、広報などのコミュニケーションズや戦略パートナーシップを担当するマネジャー。今年3月中旬には念願だった日本オフィスを訪問し、シドニーに戻ってきたばかりだ。感想を聞くと、「おじぎの仕方や名刺交換など、日本のビジネスのやり方を学べた。学ぶことがたくさんあって時間が全然足りなかった」と笑う。そして、「桜のシーズンを逃したのがとても残念」だそうだ。テラサイクルでは、各国のオフィス間のアイデア交換を支援するため1週間の「グローバルプログラム」を設けており、従業員は他国のオフィスで研修を受けることができる。テラサイクルの拠点のある国ではオーストラリアとNZに最も近い「お隣の日本」(オッシラさん)を以前から訪問したかったという。

テラサイクルは、「捨てるという概念を捨てよう」をスローガンに、自治体や企業が通常回収しない廃棄物を引き取り、加工・販売するなどして収益を上げているが、成功の鍵となるのはブランド(企業)からの支援や地域コミュニティーの参加だ。オッシラさんによると、「世界で『サーキュラー・エコノミー(循環型経済)』という経済モデルが注目されており、テラサイクルの事業に対する企業の関心が高まっている」という。

■資源を永続的に再利用

循環型経済とは、生産から販売、使用、回収、修繕、再利用に至る循環する流れを確立し、商品の価値を損なわずに、永続的に再利用を続ける経済モデルのこと。将来的な資源枯渇を見据え、これまでの大量生産から大量消費という一方通行型の経済モデルを、循環型経済に移行させようとする動きが出てきている。

オッシラさんによると、食品業界、特に食品の包装業界からの関心が強いそう。オーストラリアでの廃棄物再生事業では、「コルゲート」の使用済み歯ブラシと歯磨き粉チューブや日用品「ネイチャーズ・オーガニックス」の空き容器のほか、食品では簡易エスプレッソマシン「ネスプレッソ」のコーヒーカプセルの空き容器、子ども向け有機スナックの「ホール・キッズ」などが参加する。

オーストラリアとNZではともに、企業との提携が順調に増えているが、オッシラさんが力を入れているのが、オーストラリア発の新事業「廃棄物ゼロボックス(Zero Waste Box)」だ。オーストラリア郵便局と協力して、廃棄物に応じた回収箱を販売し、後に回収する。企業と提携した無料の箱もあるが、有料でも異なった種類の回収箱を展開することで、企業などがテラサイクルに参加しやすくなるという。

■コミュニティーの強さ

リサイクルを個人に普及させるために必要なのはコミュニティーの力だ。テラサイクルは廃棄物回収で得た収入の一部を、回収に協力したコミュニティーが指定する慈善団体などに寄付しており、このモデルは日本を含めた展開国で機能しているという。

文化の違う日本に行ってオッシラさんが気付いたのは、「違いよりも共通点が多い」こと。「日本でもオーストラリアでも、リサイクルへの意欲は高まっており、より気軽に参加できる手段が求められている」と語る。今後はグローバル企業の良さを生かし、廃棄物ゼロボックスを世界に発信したい考えだ。

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