第52回 北部開発で注目!日本と関係深いタウンズビル

クイーンズランド(QLD)州北部最大の都市タウンズビル(Townsville)。世界遺産グレートバリアリーフの島への玄関口で、実はオーストラリアで最初に日本の領事館が設置された場所でもある。サトウキビの生産が盛んで、訪問した際には街から離れる車から見えた、広大なサトウキビ畑に圧倒された。このタウンズビル、古くから鉱物や農産物の積み出し港として重要な役割を果たしているが、「アジアの時代」の到来でその地理的近さや開発の潜在性などから、農業でも今まで以上に注目を集めている。

道なりにずっと続く背の高いサトウキビ。濃い緑色が鮮やかで、青い空の下に緑のじゅうたんが広がっているようだ。3月の官民ミッションでタウンズビルを案内してくれた人に、「緑がきれいなところですね」を話しかけると、なぜかきょとんとした顔。それもそのはず、タウンズビルは熱帯性気候で、年間に晴天の日が320日以上あるとされており、雨が降らないとすぐに葉が枯れ、景色も茶色に変わってしまうため、「ブラウンズビル(Brownsville)」と呼ばれるほどだという。今回は訪問時期に合わせるように降雨があり、たまたま緑の多い街の姿を見られた、ということだ。それまでは雨不足で、洗車や庭の水まきが制限されるほどだったという。

そんなタウンズビルでは、サトウキビの栽培もかんがいに大きく頼っている。QLD州で栽培されるサトウキビのうち6割超が、かんがいなしでは栽培できないほどで、北部の農業開発で水インフラ整備の重要性が叫ばれる理由にもなっている。北部では雨期に降雨が集中するなど気候が極端なため、輸出などを見据えて安定して農産物を生産するには、雨期乾季を問わず、安定して水を供給する設備が不可欠だ。

ちなみに、同地域のサトウキビ農家は輪作作物としてコメの栽培を始め、需要の高まりもあってコメ生産に本腰を入れている。タウンズビルから南下したバーデキンでは、熱帯気候で年中作付けのできる環境で、福島県いわき市の非営利団体「いわきワールド田んぼプロジェクト」が日本のコメ作りを行っている。

■街の要、タウンズビル港

300ヘクタールの広大な土地と従業員100人を抱えるのが、150年の歴史を持つタウンズビル港。年間の取扱高は110億豪ドル(1豪ドル=約79円)で、年間に7,600万豪ドルを売り上げる。船が着岸するバースを8カ所持つが、今後その数を6カ所増やす計画だ。拡張を目指す背景には、州政府が掲げる周辺での農地拡張で今後、アジアなど向けの農産物輸出が増えるとの考えがある。

同港が示した試算では、農地が拡張された場合、箱詰め牛肉の輸出は昨年の5万トンから30年後の45年には10万トンに、生体牛の輸出数も45年には60万頭に達する。耕作農産品の輸出も倍増する見通しだ。

■日本とのつながりも

タウンズビルには熱帯研究の世界的な有名校ジェームスクック大学があり、国内外から学生や研究者が集まる。近年注目される水産養殖業など、大学と業界による「コラボ」も盛んだ。青果栽培でも、屋内栽培で収穫量を増やし、付加価値のある特別な種類の青果を確実に栽培できるよう、農家と研究者が新技術の開発に取り組んでいる。

1896年にタウンズビルに最初の日本領事館が設置された背景には、真珠貝の採取やさとうきび栽培でQLD北部に、当時約3,000人の日本人が出稼ぎに来ていたことがある。

タウンズビルは福島県いわき市と姉妹都市関係にあり、2011年の東日本大震災発生時には、復興支援の動きが高まった。山口県周南市とも姉妹都市関係にある。

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