第65回 沖縄の食と若者を海外へ!ウチナー民間大使の恵子さん

「4月にシドニーで沖縄料理の講習会をします」と宣言するのは、昨年10月にウチナー(沖縄)民間大使に任命されたばかりの比嘉恵子さん。元気一杯のオーストラリア産食材を使い、沖縄の味を伝えたいという恵子さんに、沖縄の食の魅力や、民間大使として実現したいことなどを聞いた。

沖縄シーサーの像とポーズを取る恵子さん。着て いるのはかりゆしウエア

沖縄シーサーの像とポーズを取る恵子さん。着て
いるのはかりゆしウエア

オーストラリアとのつながりができたのは、シドニーで飲食店を経営する中高生時代の同級生。「シドニーで20年間1人で沖縄を発信している」との言葉に動かされ、シドニーで沖縄そばを作る活動に参加した。沖縄での仕事を調整しながら初めて来豪したのが2015年12月。以降2~3カ月に1回はオーストラリアを訪れている。

オーストラリアで驚いたのは食材の素晴らしさ。日本、沖縄産の野菜と比べて「元気一杯で野菜の迫力が全然違う」そう。シドニーで手に入る地元産のゴーヤも沖縄のものと見た目は違うが、食べてみると香りが良くおいしいという。また、豚肉や牛肉、鶏肉に肉の臭みがないことにも驚いた。沖縄で手に入るものには「たぶん飼料だと思うけど、臭みがある」(恵子さん)という。その臭みを取るには泡盛を入れる必要がある。臭みを取る必要のないオーストラリアの肉にはそれほど泡盛を入れる必要はないが、まろやかさを出すために加える。沖縄そばや煮込み料理など、肉を使う料理に泡盛を入れると特別な沖縄のまろやかさが出るという。「不思議ですが、日本酒や料理酒ではまろやかな深みが出ません。日本酒を使うと、何だか辛く、きりっと締まってしまうんです」と恵子さん。

オーストラリア産の果物にも衝撃を受けた。沖縄の言葉で「あふぁい(薄い、物足りない)」と最初は感じたが、それは日本で糖度の高い果物を常に食べていたから。それまで果物は甘くなければ売れないと思っていたが、「甘くなくても酸っぱさなど、本来持っている味、栄養の味」を楽しむようになった。オーストラリアでは大きさや見た目の違いが日本よりも目立つが、自身の農業の経験を通じて、形がばらばらであることが本来の「自然の姿」だと恵子さんは思う。そして、糖度で食べ物を選ぶ、見た目で食べ物を選ぶという今の日本、沖縄の風潮についても考えるようになったという。

■手のこんだ沖縄料理

恵子さんはこの、豊かなオーストラリアの食材を、沖縄の農家にも見てもらいたいと思っている。4月には農場の視察など、日本からツアーを連れてくる計画だ。シドニーで沖縄料理の講習会をするのは、気持ちのこもった沖縄料理を通じて、沖縄を知って欲しいという思いから。沖縄料理というとゴーヤチャンプルーなど手軽というイメージがあるが、もんだりこねたり、「手」をたくさん使う料理でもある。ソーキそばのだしは、丁寧に時間をかけてとる。

講習会で教えるのは、オーストラリア産ピーナツを使ったジーマミ豆腐、同じくオーストラリア産小麦粉を使った沖縄の伝統的なお菓子のポーポー、揚げ菓子のサーターアンダギーなど。沖縄のことわざ「いちゃりばちょうでー(一度会ったら皆兄弟)」の精神で、沖縄の人は皆で食べるために料理を作る。「かめー、かめー(食べてって)」と食事に誘われるのはしょっちゅうだ。

沖縄産の工芸品や食品を持ち歩き、常 にアピール

沖縄産の工芸品や食品を持ち歩き、常にアピール

■若者の海外拠点作り

今後目指すのは、シドニーでの沖縄のアンテナショップ作り。沖縄の文化発信はもちろん、沖縄の若者に海外に出る機会を与え、海外での働き先を提供するのが目的だ。海外での経験を通じて自信をつけてもらうことが、人材育成につながると考えている。「料理のできる人を連れてきて、沖縄居酒屋なんてするのもいい」「沖縄のかりゆしウエアには、オーストラリアでビーチ着としての可能性がある」(恵子さん)と、アイデアもどんどん浮かぶ。

2000年の沖縄サミット以降止まってしまった海外への沖縄の情報発信。まずは食を通じて、沖縄への理解を深めてもらいたいと思っている。

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