第67回 世界中どこでも参上します!谷村うどん

おいしそうなうどんを持つ純さん

おいしそうなうどんを持つ純さん

香川県の讃岐うどんを作り、形態にとらわれずに日本で全国各地に出没する「谷村うどん」の谷村純さんが、オーストラリアに上陸した。出張スタイルで店を持たない谷村うどんが海外に来るのはオーストラリアが初めて。純さんに話を聞いた。

埼玉県出身で27歳の純さん。広告代理店勤務や通訳を経て25歳の時、飲食の職人になりたいという思いから、作るのが簡単そうだとうどんの世界に飛び込んだ。香川県で修行し、うどん作りの奥深さに気付いたという。修行前は麺類といえばラーメンやそばの方が好きで、うどんへの興味はなかったそうだ。実は埼玉県はうどんの消費量が日本で2位だそうで、自らのキャリアチェンジに重ねて「(埼玉県出身でうどん職人になるのは)不思議な縁ですね」と純さんは語る。修行の後、店舗を持つという大きな投資をしなくても自分のうどんを食べてもらえるはずだと、無店舗型の谷村うどんが誕生した。

中高時代を米国で過ごし英語が話せる純さんは、「海外で谷村うどんをやりたい」と思い始める。日本で提供される讃岐うどんの多くが、しっかりしたコシのある食感が生まれやすいオーストラリア産の小麦粉を使っており、オーストラリアだったら質を保ちながら自分の好きな讃岐うどんを作れるのではないかと考えた。好きなアウトドアスポーツが盛んなことも魅力だ。

谷村うどんのスタイルは、交通費を出してもらえれば「世界中どこへも」行き、作ったうどんに対しては、値段を決めずに食べた人が「寄付」をするというもの。純さんがその時に必要とする日用品や業務用品など、モノでの支払いもできる。

うどん作りは体力仕事でもある

うどん作りは体力仕事でもある

■必要なのは交通費

谷村うどんのオーストラリアデビューだが、最初は苦戦した。情報サイトに「無料でうどんを作ります」と投稿しても、2週間しても連絡がない。ある時、うどんが好きな2歳の男の子の誕生会に呼ばれてうどんを作ったが、そこでうどん作りに対する関心の高さを見て、うどん作りを見せる、一緒に取り組むという体験型にスタイルをシフトした。日本では作り終えたうどんを提供する完成型スタイルだったそうだ。

現在は口コミや交流サイト(SNS)で純さんの情報が広がり、個人宅や飲食店などでうどん作りに忙しい日々だ。問い合わせの多さに、今では「参加者が10人以上」などの制限を設けている。

純さんは昨年11月に来豪した際、まずブリスベンの友人を訪ねた後、夏をゴールドコーストで過ごし、シドニーに来たのは3月下旬。苦戦した当初は日本の夏には帰国しようと考えていたが、現在は小麦の大産地西オーストラリア州からもラブコールがかかる。「パースも交通費を出してくれれば行きます。(個人が少額を寄付できる)クラウドファンディングなどで旅費を集めてぜひ呼んでください」と純さんは語る。

■喜んでもらえることが活力に

うどんに使う材料は、小麦粉と水と塩で、オーストラリアではタピオカ粉を少し入れている。小麦粉はスーパーマーケット大手コールズのプライベートブランド(PB)製品で、材料は全てコールズで調達する。小麦粉はブランドが違うとその度にうどんの作り方を調整する必要があり、一つの商品を安定して使えることが大きい。水の違いにも苦労するそうだ。また、IHのコンロが多いこともオーストラリアならではの苦労。湯がわくのが遅く、沸騰の仕方も安定しないため、うどんの質が安定しづらいという。それでも、1キログラムが0.75豪ドルと安価なPB小麦粉には「全然問題はない」そう。

純さんは今後も、「うどんを食べたいと言われたらどこへでも」行く考え。オーストラリアはもちろん、ニュージーランドにも興味があるという。そのほかに行ってみたい国はと聞くと、「ドイツ」と意外な答え。ドイツではうどんの人気が上昇中なこと、そして欧州各国に近く、多くの国を訪れることができるからだという。

何よりも、自分のうどんを食べた人が喜んでいる姿を間近に見られることが、生きる活力になっているという純さん。谷村うどんの「海外修行」はまだまだ続きそうだ。谷村うどんの連絡先は0468765509(谷村純)、ホームページ(Facebookページ)はこちら

平林 純子NNA豪州ウェルス編集長

投稿者プロフィール

埼玉県出身。AP通信社、ライブドア、トムソン・ロイター、日本経済新聞社などに勤務し、2014年より現職。オーストラリアの大自然とキュートな家畜に癒されながら、農業取材を続けている。

この著者の最新の記事

関連記事

アーカイブ

メルマガ登録

Facebook

ページ上部へ戻る