第70回 まだまだ掘り足りません!魅力あふれる人と場所(最終回)

エチューカで。NSWとVICの州境に立つ筆者

2014年1月から始まった「純子の根掘り葉掘り」も今回が最終回。農業取材を手探りで始めた当初、知識が乏しいことからとにかく人に会い、外に出掛けて実際に目にしたものを記事にしていこうと始まった。多くの場所に出掛け、当初はインタビュー取材を受けてくれる人を探すのにも難儀したが、気がつけば40人近くの方に応じて頂いた。全てに思い入れがあるが、特に思い出に残る回を振り返ってみたい。

シドニー近郊でのイベントや大学の公開授業などに顔を出してはいたが、やはり遠出をした取材は思い入れがある。都市化が農業の脅威になっていることを学んだニューサウスウェールズ州ホークスベリー(第33回)、多様な農業に触れた同グロスター(第4648回)、農業と鉱業の共存について考えた同ハンター地区(第3536回)では、消滅の危機に瀕する地元コミュニティーの人と直接話をし、その怒りやせつなさを身近に感じた。

農業の歴史が深いビクトリア州エチューカ(第38回)や、アスパラガスの最大産地である同州クーイーラップ(第55回)、シドニーで出会ったタスマニア州のウイスキー醸造所の知人を訪ねて、バーニーにある同醸造所を訪れたのも良い思い出だ(第63回)。日本からの関心が高まっているクイーンズランド州北部で、拠点のタウンズビルも訪れた(第5052回)。これに、本連載とは別の取材で訪れた場所を加えても、ウェルスを担当してからの3年強で訪れた場所はほんのわずかだ。まだまだ訪れたい場所が山ほどある。オーストラリアは本当に広いと実感した。

■今も続くご縁

本連載では、「食」にかかわり、日本とオーストラリアを舞台に活躍する人を紹介するというテーマで人と会う機会にも恵まれた。連載に登場したほとんどの方とは今でも連絡を取り合っている。食、農業、そして日本に強い思いを抱く人たち。その情熱にパワーをもらい、たゆまぬ努力を続ける姿に感動した。特に印象に残るのは、オーストラリアで初めて自動搾乳システムを導入した酪農家のウォーレン夫妻(第37回)。国内メディアで大きく取り上げられたが業界からの予想外の批判を受けて、メディア取材に非常に慎重だった。それでも酪農家の将来に役立つはずだと、自ら開発したシステムについて話してくれた。また取材抜きで普通に話をしていたところ、予想外に日本とのつながりを聞き、その場で取材を申し込んだこともあった(第43回)。

車での取材に付き物?人生初めてのパンク

■日豪のつながり、一層強く

本連載を通じて、日本のメディアに対するオージー農家のフレンドリーさ、また日本食に携わるオージーのひたむきさに触れ、オーストラリアがまれに見る親日国であることを実感した。その一方、オーストラリアの食材や生活にほれ込み、オーストラリアを舞台に活躍する日本人にも話を聞くことができた。

旅行者など日豪間の人やモノの流れが確実に増えていく中で、日豪それぞれの食を発信し、両国をつなぐ人の数はますます増えていくだろう。取材先探しに手間取った3年前とは状況も、筆者自身も大きく変わった。今や取材候補の多さに、うれしい悲鳴を上げることもある。

本連載の記事を目にした人が、オーストラリアの農業、ひいてはオセアニアの農業全体に対する関心を高めてくれればと願っている。そしてオーストラリアで活躍する日本人の姿を広く知ってもらうことで、日豪の架け橋になろうと思う人が増えれば、最高だ。

オーストラリアに住んでいて、いつか実現したいのが、農場での「見習い」。年齢の高さと少ない資金でハードルは高いが、一時的でもこの国の大地に根ざし、生活してみたいと思う。もしも旅先の農場で筆者の姿を見かけたら、ぜひ声をかけてほしい。今まで応援頂き、ありがとうございました(完)。

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