第7回 国産品離れする粉ミルク市場

中国で海外産粉ミルクの人気が上昇し始めて久しい。

業界リサーチサイト「産業信息網」によると、2014年のメーカー別粉ミルク市場のシェア1位は、米ミード・ジョンソン・ニュートリションで15%だった。以下、米ワイス・ニュートリション(現ファイザー・ニュートリション、13%)、中国の貝因美(9%)、合生元(8%)、米アボット・ラボラトリーズ(7%)と続き、10位以内では海外メーカーが6社ランクインした。

オーストラリアメーカーは10位以内に入ってはいないものの、オーストラリアではこれまでに、中国人による粉ミルクの買い占めで、スーパーマーケットで売り切れが続出していることから、中国でオーストラリア産粉ミルクの人気が急上昇していることがうかがえる。

中国のポータルサイト大手、網易(ネットイース)によると、今年に入ってからの中国の海外産粉ミルクのメーカー別販売量では、オーストラリアのベビーフード企業ベラミーズ・オーストラリアが第5位に、ニュージーランドの乳業a2ミルク・カンパニーのオーストラリア産粉ミルクが9位にそれぞれランクインしている。

■高級ブランドも出現

中国人による粉ミルクの購入方法としては、海外に住む知り合いに代理購入を依頼する人も増えてはいるものの、スーパーやベビー用品店などの小売店での購入、またはネット通販を通じた購入のいずれかが一般的だ。

上海市内の小売店で販売されている粉ミルクは、どの店舗もほぼ海外ブランドが全体の8?9割を占める。ベビー用品店や規模の大きなスーパーは品ぞろえが良く、海外メーカーを多数取り扱う店舗が多い一方、小規模のスーパーは取り扱いメーカー数も2?3種類程度で、国産メーカーの製品は販売していない店舗も少なくない。

中国で販売される粉ミルクの種類は複雑だ。大きくは中国メーカーと海外メーカーに分かれるが、海外メーカーでも中国産と海外産とがある。中国産といっても、原料となる生乳は海外産を使っているものがほとんど。また中国メーカーにも、中国産の生乳を使って生産した完全な中国産と、海外産の生乳で生産した中国産とがある。ここ数年では、乳幼児に有用なさまざまな栄養成分を配合した高級ブランドを販売するメーカーも増えた。

■価格差は2倍以上

販売価格は、海外メーカーの製品が200?470人民元(1人民元=約18円)であるのに比べ、中国メーカーの製品は130?300元程度。10数種類の粉ミルクメーカーを取り扱う、上海市内のベビー用品店の店員は、「同じ海外メーカーの製品でも比較的低価格な中国産でなく、海外産を選ぶ人が多い」と話す。産地別では、とりわけ欧州産やオーストラリア産が人気という。

ただスーパーでは、はやくから中国市場に参入している、ミード・ジョンソン・ニュートリション、ファイザー・ニュートリション、スイスのネスレなどをメーンに取り扱う店舗が多い。オーストラリアメーカーの製品を置いている店舗はほとんど見ない。

中国メーカーでは、貝因美、合生元を取り扱う店舗が多い。スーパーの店員によると、中国メーカーの粉ミルクを購入するのは、ほとんどが農村部からの出稼ぎ労働者。一般的には海外メーカーを購入する人が多く、周りにも中国産を飲ませている友人はいないという。2008年に起きた粉ミルクのメラミン混合事件を受けた国産離れが、現在も続いているのだ。

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