第182回 Langmeil Winery
- 2011/9/15
- たえこのワイン
アデレードのバロッサ・バレーに入ると、一面のブドウ畑が目の前に広がる。ブドウの木も、ある一角は年季のある太く、ねじれたようなブドウの木が並び、一方では若くまだ直線的な木が並んでいる。「ワイナリーを経営することにあこがれを抱く人は多いけれど、新しいワイナリーは最短でも利益を出すまでに8年はかかる」とガイドが教えてくれた。8年の内訳は、ブドウ苗木の成熟と調整に5年、ワインにしてから販売できるまでの熟成期間3年だ。その8年間、初期投資で莫大な資金とランニングコストがかかることは容易に想像できる。
手塩にかけて育てたブドウの木はワインメーカーにとってかけがえのないものだ。それを物語るような話を「Langmeil Winery」で聞いた。
1842年からの長い歴史のあるワイナリーだが、現在でも140年前のブドウの木を守っている。5年前、そのブドウ畑が一部売却され、140年もの間守られてきたブドウの木も破壊の危機を迎えたが、なんとこれらの木は丁寧に別の場所に植え替えられたという。
300本以上のブドウの木を移動させるのは並大抵のことではない。それでも時間をかけて移動された木は今でもブドウを実らせる。まさに引っ越しにより「自由の地」を手に入れたブドウからできたワインは「The Freedom」と名付けられ、売り切れ御免の看板商品となっている。
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