新・たえこのワイン 第26回  Tamar Ridge Estates

【Tamar Ridge Estates】
653 Auburn Rd, Kayena TAS 7270
Tel: +61 3 6394 1111
www.brownbrothers.com.au/wines/tamar-ridge

前回のコラムで書いた気候変動とワインのバラエティーについて、もうひとつタスマニアのタマーバレーで2010年に大きなニュースがありました。比較的小規模なワイナリーが点在するタマーバレーの「Tamar Ridge Estates」をオーストラリアで最も大きなワイナリーのひとつであるブラウン・ブラザーズが傘下に収めたことです。「Tamar Ridge Estates」は名前を変更することなく同じ敷地で営業していますが、ワイナリーの入り口には写真のような手紙が展示されています。

これはブラウン・ブラザーズのCEOであるロス・ブラウン氏によるもので、同社がどのような経緯でこのワイナリーの購入を決めたかということが書かれてあります。そこからは「干ばつと気候変動」を懸念し、リスク分散のため農地確保の重要さが読み取れます。特に今後、オーストラリアでは冷涼地が温暖地に変わっていく可能性があることから、冷涼地でしか栽培できないピノ・ノワールとスパークリングワインの原料である白ワイン用ブドウの確保を早急に進めたかったことが分かります。

さて、この「Tamar Ridge Estates」ではブラウン・ブラザーズの傘下で「Tamar Ridge」、「Devil’s Corner」、「PIRIE」のブランド名のワインを作っています。偶然、筆者が訪れた日にVIPの訪問があったようで、彼らのテイスティング用に開けられた03年のTamar Ridgeのリースリングを試飲させてもらうことができました。リースリング特有のガソリンのようなアロマが年代の貫禄を漂わせています。このアロマは好き嫌いがはっきりと分かれると思いますが「ツンとするケミカル臭が逆に癖になる」と酒豪の友人は気に入っていました。年代もののリースリングに出会ったら、一度試してみてください。

【駐在員のためのワイン講座】

ワインのタイプとスタイルって?(その2)

前回はワインのタイプについてお話しました。今回は、ワインのスタイルについてご紹介します。前回ワインの「タイプ」をシンプルに3種類に分けたのに対して、「スタイル」としては、より多方面からワインを分析、カテゴライズしていきます。

1.辛口か甘口か

辛口(ドライ)、中辛(オフドライ~ミディアム)、甘口(スイート)、極甘で表現します。一般的に若くフレッシュなテーブルワインとして人気のオーストラリアのリースリングはドライなものが多く、モスカートは酸味が少なくスイート、デザートワインになると極甘になります。

2.ボディー

ライトボディー、ミディアムボディー、フルボディーでワインの濃厚さ、コク、風味の豊かさ、味わい深さを表します。赤ワインでよく使われますが、白ワインでも使います。

上記1と2を合わせてワインを表現するとわかりやすいです。ワインのラベルにも「Light bodied dry red」などと説明されています。特にブレンドされたカスクワインやノンブランドのクリーンスキンワインではどのようなスタイルに仕上げているのかをシンプルに表示しています。これにアロマの強さ、印象を加えると、より詳しい情報になります。

ワインを飲んだ感想で「かんきつ系の香りがして、レモンやライムを想像させるようなフレーバー」と言ってもその感想からは同じタイプのフレーバーしか想像できません。ワインを多方面から表現する中で、フルーツなどフレーバーを例えることは多くの人がしていると思いますので、それに上記2点を加えてシンプルかつ、想像の幅が広がる表現にしてはいかがでしょうか。

公式SNSをフォロー