新・たえこのワイン 第32回 De Bortoli Wines
- 2014/8/22
- たえこのワイン
【De Bortoli Wines】
532 Wine Country Drive Pokolbin NSW 2320
Tel: +61 2 4993 8800
http://www.debortoli.com.au/
冬のハンターバレーを訪問しました。現地では収穫を終え、すっかり葉が落ちたブドウの木が寒そうです。でも、よく見ると放っておかれているわけではなく、きれいに剪定されていました。冬の剪定は、次に出てくる芽数の調整や収穫量のコントロールに重要だそうで、ヴィティカリストが年間を通して多忙な様子がうかがえます。
さて、今回のハンターバレー訪問では掘り出し物のワインを入手できました。セミヨン100%のドライワインで有名な当地では、10年ほど瓶熟成できるプレミアムセミヨンも作られています。多くのワイナリーで、一般的なセミヨンとプレミアムセミヨンを品質別に販売しています。一般的なセミヨンとは、以前このコラムでも書いた「Drink Now Style=すぐに飲んで美味しいワイン」です。プレミアムセミヨンは、10年ほどの瓶熟成ができるようにブドウの選別や醸造方法を工夫し、手間をかけます。そのため価格帯は50豪ドル(約4,800円)以上と高額になりますが、瓶熟成されるからこそ生まれるフレーバーや余韻の長さを楽しむことができます。
【ラノリンのアロマ】
De Bortoli Winesで偶然見つけた「Murphy's Vineyard Semillon」は筆者がまだ日本にいた2005年のセミヨンでした。約10年の瓶熟成を経たセミヨンです。一般的な小売店ではまず販売していないでしょう。テイスティングしたところ、若いセミヨンにはないトーストのようなアロマとかすかにラノリンのアロマも感じることができました。ラノリンとは、羊毛の脂でウールグリースとも呼ばれ、ツンと鼻を突くような臭いがします。このように、フルーツ以外のアロマが発展的に現れ、複雑なフレーバーになるのが瓶熟成の面白いところです。
掘り出し物度 ★★★★★
複雑なアロマ ★★★★☆
ブランドネーム ★★★☆☆
【駐在員のためのワイン講座】
基本のブドウ品種その4
前回に引き続き、基本的な赤ワイン用ブドウの紹介です。
【ピノ・ノワール(Pinot Noir)】
ピノ・ノワールは、デリケートな品種で冷涼な気候でなければうまく育たず、ブドウ生産者は栽培に苦労します。一方で、出来上がりはライト ミディアムボディーの飲みやすいワインになるため「育てるのが困難でも飲むのは簡単な品種」と呼ばれています。冷涼な気候で栽培されるため、タンニンが少なく酸味が高くなります。そのフレーバーは、赤いフルーツの中でもイチゴやラズベリーに例えられます。また、ボトルで熟成が進んだものは、フルーツからマッシュルームにフレーバーが変化します。オセアニアで注目されている生産地はニュージーランドのセントラルオタゴ、マーティンボロ、オーストラリアのタスマニアやモーニントン半島、ヤラ・バレーがあります。
【カベルネ・ソービニョン(Cabernet Sauvignon)】
フランスのボルドー地方を象徴する品種で、力強い色とタンニン、芳香性で主にフルボディーの赤ワインに仕上げられます。そのフレーバーは、カシスやブラックチェリーに例えられることが多いのですが、かすかにユーカリやミントのようなフレーバーも隠れています。余談ですが、オーストラリア人のワイン批評家は、アロマやフレーバーの表現に「ユーカリ」を挙げることが多いそうです。確かに、他国ではそれほど身近ではないユーカリが、この国ではどこでも生い茂っているのですから、定番の表現になることも納得できますね。
さて、カベルネ・ソービニョンはメルローとの相性が良く、同じ地域でブレンド用に栽培されることがよくあります。オーストラリアでは、南オーストラリア州のクナワラやマクラレン・ベール、西オーストラリア州のマーガレットリバーがプレミアムの産地です。
その他、メルロー、マルベック、カベルネ・フラン、サンジョベーゼなどメジャーな品種が栽培されています。また、ティリアン(Tyrian)やシエナ(Cienna)といったオーストラリアで開発された新しい品種も出回るようになっています。
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