新・たえこのワイン 第35回 「Ata Rangi Petrie Chardonnay」
- 2014/11/27
- たえこのワイン
【Ata Rangi】
14 Puruatanga Road Martinborough,
5741 NEW ZEALAND
Tel: 64 (0)6 306 9570
http://www.atarangi.co.nz/
ヨーロッパに赴任経験のある方から、ヨーロッパ産ワインの代用になるワインを聞かれたことがあります。このようにヨーロッパ(=旧世界)産の代用としてオセアニアはじめ米国や南米など新世界のワインを提案することは、ワイン学校の試験でよく取り扱われています。それだけこのような知識や提案能力がソムリエやワインアドバイザーに求められているようです。
【ワインと環境の共通点】
具体的にその方が指定した旧世界のワインは「Chassagne-Montrachet」でした。フランスのブルゴーニュ地方の中でも上等な白ワイン(シャルドネ)として有名です。具体的には、上品で複雑なアロマとフレーバー、そして長い余韻を残すワインです。
そんな「Chassagne-Montrachet」の代用品を探していたところ、偶然テイスティングをしたニュージーランド産「Ata Rangi」のシャルドネに共通点をいくつか見つけました。特にオーク樽の香りが、こってりとしたバターではなく、バニラのように軽やかなところが似ています。また、それぞれの畑の気候が冷涼であり、粘土質を含む土壌であることも共通していました。
このように、旧世界と新世界の共通点や各ワイナリーの目指すワインスタイルを比較するのも面白いです。ボルドーやブルゴーニュのように世界的に有名なワインのスタイルは、それをコピーして作っている地域が世界に複数あります。それらは、単に代用品ということだけではなく、新しい生産地の特徴をPRする役割も担っています。
【駐在員のためのワイン講座】
「オセアニアは近代的ワイン作りの最先端」
オセアニアは、ワイン作りにおいて最新の科学や技術をいち早く取り入れながら進化してきました。ワイン作りの歴史はヨーロッパ(旧世界)の生産国にかないませんが、技術と合理的なアイデアに基づいた近代的なワイン作りでは、オセアニアは最先端の地域といえます。
【温度管理】
ワイン作りにおいて温度管理はとても重要です。オセアニアではステンレスの醸造タンクが広く利用されています。木製やコンクリートに代わり、ステンレスのタンクを使うことによってより正確な温度管理が可能になり、衛生面でもかなり向上しました。巨大なタンクが並ぶワイナリーは工場のようでもありますが、品質の安定には合理的な投資ともいえるでしょう。
【スクリューキャップ】
スクリューキャップは、開発後商業化されて30年ほどですが、既にオセアニアワインの定番となりました。コルクよりも安価で、ワインの酸化やコルクによる劣化の心配がありません。元は、フランスで開発されたアイデアですが商業化に乗せたのはオーストラリア企業です。オセアニアのように、合理的で自由な市場だからこそ成功したのだと思います。
【酸化防止】
ワインの美しい色や香り、飲み口の新鮮さを保つためには、酸化を防ぐ必要があります。酸化防止剤として広く利用されているのが二酸化硫黄(SO2)です。この添加は、オーガニックワインにも利用が許可されており、近代のワイン作りには欠かせないものとなっています。その他、前述のステンレスタンクやスクリューキャップもまた酸化防止に威力を発揮しています。
地声人語・湖城の窓から過去の記事
-
2021/1/15
地声人語・湖城の窓から- vol.484
-
2021/1/8
地声人語・湖城の窓から- vol.483
-
2020/12/24
地声人語・湖城の窓から- vol.482
-
2020/12/18
地声人語・湖城の窓から- vol.481