新・たえこのワイン 第41回 「d’Arenberg」

【d'Arenberg】
Osborn Road McLaren Vale SA 5171
Tel +61 8 8329 4888
URL http://www.darenberg.com.au/

 

どのワイナリーでも自慢のワインを作るまでには、それまでの苦労や成功のストーリーがあるものです。そんなワイナリーの中で語り継がれているような小話をうまく名前に反映させて、客の興味を惹いているワイナリーがあります。マクラレンベールの「d'Arenberg」はまさにそんなストーリーテラーのようなワイナリーです。

【不気味な名前】

「d'Arenberg」のセラードアで、ワインリストを見ていると、ワインの種類だけではなく、それそれのネーミングに目を奪われました。筆者が最初に見つけたのは「The Dead Arm(死んだ腕)」と名付けられたシラーズです。なんと不気味な名前でしょう!それだけに、なぜこんな名前をつけたのか知りたくなり、担当者に聞いてみました。

 

【片腕のブドウ】

ブドウの木は、通常1本の幹から両手を伸ばすように枝が伸び、両方の枝からブドウが収穫できるのですが、「The Dead Arm」と呼ばれる木は、カビの被害で片方の枝が死んでしまった状態にあるのだそうです。当然、収穫できるブドウの量は半分以下となり、非効率なので植え替えてしまっても良いわけですが、このワイナリーではこの木から収穫できるブドウは、通常のブドウよりも濃厚で、芳醇なワインに仕上がると気づいたのです。

こんな裏話を聞けば、この不気味な名前にも納得し、ますます興味が湧いてきます。実際に試飲させてもらったところ、フルボディーの濃厚さの中に力強いパンチがありました。片腕になっても、ブドウを実らせる強い生命力が感じられるワインです。

 

物語性 ★★★★☆
力強さ ★★★★☆
希少性 ★★★☆☆

 

【駐在員のためのワイン講座】

豪州のワイン生産地 その6 「クナワラ(SA)州」

クナワラは南オーストラリア(SA)州の南東、ビクトリア州との州堺に位置しアデレードから車で4時間ほどかかります。ワイン生産地としては小さく、ワイナリーの数は、アデレードヒルズの半数の40カ所程度しかありません。このような条件でもクナワラが有名になったのは、その特徴的な土壌によるものが大きいと思います。

クナワラは石灰質土壌のライムストーン・コーストと呼ばれる地域にあります。特に、赤い表土と深層に続く石灰岩質ローム層のコンビネーションが「テラロッサ」と呼ばれて有名になりました。「テラロッサ」は、南ヨーロッパに広がる土壌ですが、それと同様の土壌が世界各地に点在しており、クナワラもそのひとつです。非常に水はけの良い土壌で、ブドウの根が地下深くまで張られることで濃厚な果実ができると言われています。

気候は、やや冷涼な海洋性気候。乾燥した夏も、濃厚な果実ができるのを手伝っています。

クナワラの代表的な品種といえば、カベルネ・ソービニョンです。カベルネ・ソービニョンはフランスのボルドー地域で有名な品種ですが多くの場合、メルローとブレンドすることで味わいをマイルドに調整します。一方クナワラ産は、完熟したカシスの風味があり、タンニンもマイルドなのでブレンドをしないのが主流です。

代表的なワイナリーは、Wynn’s Coonawarra Estate、Penley Estate、Balnaves of Coonawarraなどがあります。また、大手のJacob’s CreekやPenfoldsも上質のカベルネ・ソービニョンを同地のブドウから作っています。

渡部妙子NNA豪州マーケティング部長

投稿者プロフィール

日本で栄養士・管理栄養士資格を持つ。食品会社の品質管理員や、病院食・学校給食の献立作成、栄養指導業務に従事した経験も。06年渡豪。豪州ワインのおいしさに魅せられ、ワイナリー、ワインバーめぐりを趣味とする。 5年間で訪問したワイナリーは50カ所以上。

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