新・たえこのワイン 第46回 「Wente Vineyards」

Wente Vineyards
5050 Arroyo Rd., Livermore, CA 94550
P:+1 925 456 2450
https://www.wentevineyards.com/

「良いものをお安く」「高品質の商品をお値打ち価格で」など、日本のテレビ通販番組で連呼されているような文句ですが、消費者の心をくすぐるのはいつの時代も変わらないようです。オーストラリアのワイン小売業界では今年、安売りで有名な独系スーパーマーケットのアルディが売り出したロゼが大人気になりました。実はこのロゼはビクトリア州のヤラバレー産で、1本5ドル未満の格安であるにも関わらず、パースのワインショーで金メダルを受賞する高品質だったのです。当然ながら、すぐに売り切れてしまったようで、今後再入荷を期待したいところです。

【海外からの誘惑】

もうひとつ、品質の割に低価格なワインを見つけました。偶然立ち寄ったリカーショップで試飲した「ウェンテ(Wente)」のシャルドネです。同ワイナリーは米国カリフォルニア州リバーモアバレー(Livermore Valley)にある大手ファミリーワイナリーで、世界中に良質の低価格ワインを中心に輸出しています。カリフォルニアワインらしく、はちみつやバニラの濃厚なフレーバーが後味に印象的でした。

かつて「2ドルでワインが買える」と言われたほど、供給量に恵まれ、低価格ワインの競争の激しかったカリフォルニアですから、生き残りをかけて品質の向上と事業の拡大に力を注いできたことが伺えます。

【自国産は高価格?】

良質のワインを大量に低価格で提供してきたオーストラリアにも、カリフォルニアワインを代表するワイン新興地からの低価格ワイン流入はこれからさらなる価格競争を仕掛けてくるでしょう。今回見つけたウェンテのように、輸入ワインが国産より低価格であることは珍しくないからです。

 

低価格良品  ★★★★☆
ワインの個性 ★★☆☆☆
入手しやすさ ★★★☆☆

 

【駐在員のためのワイン講座】

豪州のワイン生産地 その11

「マーガレット・リバー」

 

マーガレット・リバーは、西オーストラリア州のプレミアムワイン産地として1970年代から開発が進みました。今や、オーストラリアのプレミアムワインの3割はこのマーガレット・リバー産であるとも言われるほどの評判です。同地を有名にしたのは、フランスのボルドー地方と気候や土壌が似ているため、いわゆる「ボルドー・スタイル」と呼ばれるワインの王道スタイルをプロデュースできたことが大きいでしょう。

さて、ボルドーとマーガレット・リバーの気候を比較するため、年間の気温と降水量を調べてみました(両地の季節を一致させるため、観測月を逆に設定しています)。両地ともに海が近いため、海洋性気候ですが、ボルドーが年間通して降雨があるのに対してマーガレット・リバーは降雨が秋と冬に集中しています。乾燥した夏は果汁を濃縮させ、菌による病気を防げます。生産のスタイルにもよりますが、マーガレット・リバーはボルドーよりも良いブドウが育ち、世界でも最高品質のワインを生み出せる場所ではないでしょうか。それを証明するように、フランスの大手ワイナリーによるマーガレット・リバーへの投資のほか、マーガレット・リバーのワインメーカーが「フライング・ワインメーカー(場所にとらわれず、世界各地でワイン造りをする醸造家)」としてフランスでも活躍しています。

当地で有名な品種は、ボルドーと同じで赤ワインはカベルネ・ソービニョンやメルロー、白ワインはシャルドネ、ソービニョン・ブランとセミヨンのブレンドです。

代表的なワイナリーは、歴史の長い「Vasse Felix」、女性ワインメーカーのパイオニアであるVanya Cullen氏のワイナリー「Cullen Wines」、日本でも有名な「Pierro」や「Moss Wood」があります。

 

渡部妙子NNA豪州マーケティング部長

投稿者プロフィール

日本で栄養士・管理栄養士資格を持つ。食品会社の品質管理員や、病院食・学校給食の献立作成、栄養指導業務に従事した経験も。06年渡豪。豪州ワインのおいしさに魅せられ、ワイナリー、ワインバーめぐりを趣味とする。 5年間で訪問したワイナリーは50カ所以上。

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