新・豪州Wagyuと歩む 第14回 次のステップへ

■豪州国内和牛の需要

近年はオーストラリアで、Wagyuの名前がレストランメニューに載ることが当たり前になってきました。ご承知のように、オーストラリアは元来牛肉消費が多い国ですが、脂肪分の多い牛肉はこれまで避けられる傾向にありました。スーパーマーケットなどでも、赤身の多いステーキやモモ肉のロースト等は見かけますが、バラ肉や肩肉など脂の多い部分はひき肉やソーセージとして流通しているのがほとんどです。そのような市場で、これだけ多くのレストランがWagyuをメニューに載せるということは10年前であれば想像しがたいものでした。近年では、Wagyuという表示のみならず、「○○牧場産」、「100%純血種」、「マーブリング9+」等と言ったWagyuの差別化も図られているようです。Wagyuを使うレストランの種類も、西洋料理、アジア料理、日本料理、中華料理、韓国料理と豊富で、さまざまな部位のWagyuを使用しています。

国内需要の充実は、主に輸出向けに生産されていたWagyuの流通にも変化をもたらしています。大手企業に集約されがちであったWagyuの生産が、個人牧場での牧草肥育牛、インターネットでの個別販売にも広がってきています。この影響で、国内向けに高級牛肉を小規模で作ろうという動きも出始めています。

私の農場も、ブルーマウンテンで和牛繁殖・肥育事業を始めて8年目になりますが、ようやく次のステップへ進む時期に来たと感じるようになりました。

■ブルーマウンテンから

ブルーマウンテンに移り住んでから、ここメガロンバレーの農場で和牛の繁殖・肥育を細々と続けてきました。小規模ながらも、優れた血統と日本式の牛舎による飼養管理の大手企業ではできないやり方で高品質な和牛を生産することを目標にしてきました。小規模生産の、品質の安定しない時期を一緒に支えてくれた家族、レストラン、卸売業者の方々にとても感謝しています。8年間も続けられたことが奇跡のようですが、ようやっと私たちの目標としていた「安定した日本式生産システムで品質の差別化を図る」ということが他の生産者の方々にも理解されてきたような気がします。本来オーストラリアのような広大な環境にはそぐわないやり方ですが、和牛には和牛の飼養管理というものがあるのだと勉強させられた8年間でした。

 

今後は、今まで経験してきた和牛生産システムを軸に、当牧場の和牛肉を安定供給できる生産体制を作り上げたいと考えています。生産基盤を大きくしつつ、今まで培ってきた管理技術、血統の選択管理をして更に安定した牛肉を流通させることが目標です。ここブルーマウンテンでの生産から次のステップへ、オーストラリアでは類を見ない和牛牧場作りに携わることになりそうです。

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投稿者プロフィール

鈴木 崇雄
シドニー近郊のブルーマウンテンにある和牛牧場「 ベルツリー・オーストラリア」代表。日本人が営む唯一の和牛牧場として、オーストラリアで注目を集めている。