農業競争力白書の骨子まとまる 財源や過度の産業保護に不安

連邦政府のジョイス農相は20日、農業競争力白書のグリーンペーパー(政策提案書、緑書)を発表した。オーストラリア農業は成長の軸を高級市場向けのプレミアム食材の生産に移すべきで、得たリターンは農家に還元されるべきだ─。ジョイス農相は、オーストラリアの食料生産がアジア地域全てをまかなうには十分ではないことを認め、同提案書では、競争力あり持続可能なオーストラリア農業を実現するためには、農家が受け取る利益を引き上げることが重要だと訴えた。【ウェルス編集部】

同提案書は農家向けの税制優遇措置や恒久的な低金利融資、小売り大手に対する農家の発言力強化などのほか、政府が出資を検討するプロジェクトとして、全国各地でのダム建設やかんがい事業など27件を挙げた。

農相は、スーパーマーケット2強が圧倒的な支配力を持つ国内市場で農家の発言力を高めるため、協同組合の設立を奨励。提案書では、法改正により協同組合の設立を容易にすることを盛り込んだ。加えて、小売り大手に対する競争規制を強化し、悪質な企業に対しては裁判所による事業分割を行う強硬案を取り入れた。また、インフラ事業の財源として、国債発行による資金調達を提案した。

しかし、財政再建を進めるアボット政権は国債発行に消極的とみられ、「無い袖は触れぬ」のが実情。また、干ばつ支援策の拡大など農家の保護や支援が目立つ内容は、事業再建に原則として自助努力を求める連邦政府の産業支援方針と相反する。一部の閣僚は提案書の内容に難色を示しているとみられており、白書策定に向けて内容が薄まる可能性がある。

白書は年末までに発表される見通し。同提案者に対しては12月12日まで一般からの意見を受け付けている。

■ダム開発に本腰

連邦政府が1年以内の出資を検討しているプロジェクトには、タスマニア州のかんがい事業5件(サザンハイランズ事業、スコッツデール事業、サーキュラーヘッド事業、スワンバレー事業、ノースエスク事業)のほか、ビクトリア(VIC)州ギプスランドのかんがい事業1件(サザンパイプライン事業)が挙げられた。

また、補助金の受給可能性があるプロジェクトには、クイーンズランド州のダム事業2件と西オーストラリア州のダム事業1件、またVIC州のウオーター・セキュリティー事業1件の計4件が挙がった。このほかの17件の事業については、出資を行うかどうかの検討を続ける価値はあるとしており、連邦政府は事業化調査や費用対効果分析を進める考えを示している。しかし、経済紙オーストラリアン・ファイナンシャル・レビュー(AFR)は社説で「詳細な情報や費用予測がなく、ダム建設に対する農相の思い入れを反映したにすぎない」と手厳しい。

■外資には消極的

一方で提案書は、オーストラリア人の5人に3人が外資による農地取得に反対しているとの調査結果を紹介。ジョイス農相は提案書を発表した全国農業者連盟(NFF)の年次会合で、オーストラリア農業に対する外国からの投資を支援するとした上で、「見境無く受け入れるべきではない」と発言し、国内農地の圧倒的多数はオーストラリア国民によって保有されることを望むと続けた。

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