日本向け牛肉輸出、減少へ=ABARES 高値と米国産との競合で

オーストラリア農業資源経済・科学局(ABARES)は1日、農産品生産高見通しを発表し、2015/16年度の日本への牛肉輸出量が、前年度比8%減の28万トンに落ち込むとの見通しを明らかにした。日本でのオーストラリア産牛肉価格が依然として高いことや米国産との競合が背景。日豪経済連携協定(EPA)の発効で将来的に若干回復するとしているが、日本経済の不振などで、中期的に大きく拡大することはないと予想している。日豪EPAによる輸出拡大効果が指摘されてきたが、ABARESは現実的な予測を示した形だ。【ウェルス編集部】

ABARESによれば、15年7〜12月のオーストラリア産冷蔵牛肉の平均価格は、日本で前年同期比6%高で、来年度も高水準が維持されるとみられる。

一方、ABARESは、日豪EPAにより、オーストラリア産の冷蔵牛肉と冷凍牛肉への関税が、それぞれ30.5%と27.5%となり、米国産牛肉への関税38.5%より低いことや、対米ドル為替市場での豪ドル安により、日本の輸入牛肉に占めるオーストラリア産牛肉のシェアが拡大すると予想。16/17年度に、オーストラリアの日本への牛肉輸出は2%増の28万5,000トンに回復するとしている。

しかし、中期的には日本の高齢化や人口減少、所得水準の伸び悩みにより、20/21年度にはオーストラリア産牛肉の対日輸出は30万トンに増加するものの、大幅な拡大はないとしている。

また環太平洋連携協定(TPP)が発効すれば、オーストラリア産牛肉への日本の関税率は27.5%まで下がるものの、ABARESは発効がいつになるか不明とし、TPPの効果は予測に含めていないとしている。

■米国と中国への牛肉輸出も減少

本年度の米国への牛肉輸出も前年度比26%減と予想されており、20年までに14/15年度の60%減となる28万トンに落ち込む見込み。米国国内の牛肉生産が回復基調にあり、豪ドル高を反映し生産者が輸出よりも国内市場に供給を集中させるとみられ、結果としてオーストラリア産牛肉の需要が縮小する見込み。

一方、ABARESは韓国への牛肉輸出が本年度と来年度にそれぞれ11%増と3%増に拡大すると予想。中国への牛肉輸出は本年度に15万トン(前年度比20%増)、来年度には16万トン(7%増)に伸びるとしている。ただ、競合国のブラジルが中国への輸出に注力しており、昨年12月に、ブラジルは牛肉で中国の最大の輸入先となっている。

■来年度の生産高は2.7%超増

2016/17年度の農産品生産高が本年度から2.73%増の603億豪ドル(1豪ドル=約82円)になる見通しとなった。600億豪ドルを超えるのは初めて。生体家畜が1.8%増の308億豪ドルと全体を底上げ、穀物も3.7%増の295億豪ドルに拡大する。ただ、供給過剰や低調な海外相場で牛肉などの輸出額が減少するとみられ、全体の拡大を相殺するようだ。

ABARESは、来年度の生産高が、輸出価格の低迷に影響されると予想。来年度の農産品の輸出総額は、本年度見込みの452億豪ドルを下回る450億豪ドルに落ち込む見通し。羊毛の生産高が7%増となり、乳製品(4%増)や砂糖(7%増)、綿花(22%増)、キャノーラ(13%)となる一方、農産品輸出の主力となる牛肉が7%減となるほか、ラムや成羊(マトン)もそれぞれ3%減と11%減となる。また、小麦も1%減になる見通し。

ABARESはまた、本年度の牛肉生産が昨年度の270万トンから240万トンに減少すると予想。さらに干ばつや食肉処理が増加したことで生体牛の数が減っていることから、来年度はさらに7%減の230万トンまで落ち込むという。ただ、エルニーニョ現象が緩和し国内各地で適度な降雨があったことで牧草の育ちにも奏功したことから、生体牛の頭数は緩やかに回復するとみている。

一方、生体牛の減少は価格の上昇につながり、本年度はセールヤード価格(市場取引価格)が前年度比41%上昇の1キログラム当たり平均5.05豪ドルと、1980/81年以来の高値になるという。

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