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第34回 ルーラル・ファンズ・グループって何?
- 2018/2/9
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農業大国のオーストラリアでは、日本の約20倍という広大な国土の約58%が農地として使用されています。農業の運営形態は年々多様化しており、自身の保有する農地で生産活動を行うだけでなく、強力な資金力を持つ投資家から農地をリースする生産者も増加しています。今回は、近年急速に成長している農地専門の不動産投資信託(REIT)会社、ルーラル・ファンズ・グループ(Rural Funds Group、RFF)を紹介します。【松本菜美】
同社は、1997年に創業した農業投資会社、ルーラル・ファンズ・マネジメント(RFM)の傘下として、2014年にオーストラリア証券取引所(ASX)に上場しました。RFFは農場への分散投資を行う不動産投資信託(REIT)企業として初めてASXに上場しました。経営陣は、ペインター会長をはじめとする4人の理事で構成されています。
RFMが2017年6月時点で保有する資産6億4,000万豪ドル(約580億円)の内、農地は5億8,800万豪ドルとなっており、これをRFFが管理しています。16/17年度の税引き前純利益は4,516万7,000豪ドルと、前年同期の43万9,000豪ドルから大きく伸びました。
国内の主要農産物に投資
RFFは、ナッツ、綿花、ワイン、畜産など多岐にわたる品目の生産者に農地をリースしています。
オーストラリアは、地中海地域を除き、世界有数のアーモンド生産地です。RFFはアーモンド市場に注目しており、ニューサウスウェールズ(NSW)州リベリナ(Riverina)を中心に約5,000ヘクタールのアーモンド農園を4カ所保有しています。また、クイーンズランド(QLD)州南東部とNSW州北部にマカダミアナッツ農園を3カ所保有しています。
オーストラリアは、中国、インド、米国に続く世界の綿花生産大国でもあることから、RFFは16年にQLD州中央部の生産大手、ライノラ・ダウンズ(Lynora Downs)を買収しました。
畜産については主に鶏肉を投資の対象としており、NSW州グリフィスと、ビクトリア(VIC)州レスブリッジ(Lethbridge)に養鶏所を17件所有しています。親会社のRFMが同養鶏所をRFFから借用し、RFMポウルトリーの社名で運営しています。牛肉にも一部投資しており、QLD州の3カ所の農場で1万匹の肉牛を所有しています。
ワインについては、国内最大手トレジャリー・ワイン・エステート(TWE)に22年までの契約で7カ所のワイン用ブドウ農園、計666ヘクタールをリースしています。
農地投資はやや過熱気味か
今後の成長が期待できそうなRFFですが、今年年初にナショナル・オーストラリア銀行(NAB)が農地投資が過熱気味という警告を発しました。そのため、投資家の間では、RFFの株価が同社の実際の規模や投資している農地の価格を正しく反映していないのではないかと警戒する見方も出ています。
【ルーラル・ファンズ・グループ】
本拠 :キャンベラ
主要人物 :レズリー・ガイ・ジュリアン・ペインター会長
主要事業 :農業REIT
売上高 :4,157万3,000豪ドル(2016/17年度通期)
純利益 :4,516万7,000豪ドル(同)
従業員数 :85人
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