日本の弁当

シドニーの地元中学に通い始めたわが娘は、日本人学校の時と同じように、学校には弁当を持って行く。クラスメートと一緒に食べるそうだが、ご飯とおかずの入った日本式弁当派は娘だけで、大抵はパンにハムか何かをはさんだだけのシンプルなものらしい。パンにジャムやピーナッツバターを塗っただけ、というランチの生徒も多いという。

クラブサンドイッチのようにいろんなものをはさめば、それなりに見栄えも味も栄養も改善すると思うが、そこまでしなくても十分だと思っているオーストラリア人家庭が大半なのだろう。いろんな食材があればあったでいいが、ようするにシンプルでも気にしない。母親たちの見栄競争のようになっていた日本の事情を思うと、案外そちらも健全かもしれない。

それにしても、だ。日本全国に張りめぐらされた街道上で発達した駅弁当や寿司の文化は、やはり賞賛に値する。繊細で細やかな「和食」が先に、無形文化遺産に登録されたのも道理だと思われる。(西嵐)

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