母国の味

子どものクラスメートの誕生パーティーに招かれた。お父さんはオーストラリア生まれだが、そのご両親はどちらも中国系マレーシア人。留学先の当地の大学で知り合って結婚されたそうだ。

どこかにマレーシアの影響が残っていないか期待したが、お宅はごく普通の内装で、パーティーの軽食も、当たり前だが、特別なものではなかった。少し拍子抜けしたが、自身を顧みれば、ご同様だった。

会話の中で、以前クアラルンプールに居たことがあると打ち明けると、それまで無口だったおばあさんの目が輝いた。マラッカ出身だという。「マラッカのニョニャ料理はおいしいですね」と言うと、「パラマタのどこどこがおいしい。シティーの何々もまあまあだ。だけど閉店時間が早いから注意しなければならない」と、貴重な情報を次々と教えてくれた。

生まれた国を遠く離れ、年月を重ねても、決して母国の味は忘れることはないのだろう。自分の将来の姿を見る気がした。(城一)

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