農家の「回復力」

クイーンズランド州北部を28日に襲った大型サイクロン「デビー」による、農場への被害が懸念されている。同州北部は筆者も昨年12月に訪れたばかり。その時に、サイクロンの被害から立ち直った農家の夫婦から話を聞く機会があった。
印象に残ったのは、「レジリアンス(resilience)」という言葉に対する感覚の違い。困難や不幸から立ち直る力を意味するこの言葉は、サイクロンや干ばつに被災した農家を支援したり、再建努力を称える際に、メディアや政治家がよく口にする。しかしこの夫婦によると、「被災した農家の現状を本当に知っていれば、農家に対して使える言葉ではない」そうだ。
被災した農家が立ち直ろうとするのは、回復力が強いからではない。それしか道がないからだという。再建を目指さなければ「死」しかない。確かに、オーストラリアの農家の自殺率は高い水準が続く。デビーのニュースを見ながら、レジリアンスという言葉を聞くたびに胸が締め付けられる。(葉羽)

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