第26回 パースでハーブを育てる

パースでのガーデニングに、特に私がおすすめしたいのはハーブです。パースの気候はハーブを育てるのに適しています。夏の湿度が低いため根腐れしにくく、冬も気温が極端に下がらないので越冬できる品種も多くあります。肥料をほとんど使用しなくても育つ種類があり、適切に管理すれば簡単に長く楽しむことができます。

ハーブを料理に使うと幅がぐっと広がります。店頭でも入手できますが、量の割に値段が高く日持ちしません。今回はこれまで私自身が育てやすいと思った、家庭栽培に適したハーブを4種類ご紹介します。

■まずは、香り高いローズマリーです。

ローズマリーは手がかからず、勝手に育つと言っても過言ではありません。パースのほとんどの住宅の庭に生えているのでは、と思うくらいの定番です。一度根付くことができれば、肥料も世話も余り必要とせず、虫も付きにくいです。地植えでも鉢植えでもよく育ちます。

さまざまな種類がありますが、料理に取り入れるのであれば、タスカンブルー(Tuscan Blue)が使いやすいと思います。

ローズマリーには、さわやかで強い香りがあります。肉料理、野菜料理、なんでも使えますが、お勧めはポテトのオーブン焼きです。ポテトにローズマリーを散らしてオーブンで焼くだけの簡単な料理ですが、清涼感のある香りがポテトに移ってとてもおいしいです。

■2種類目は、オーブン料理に役立つタイムです。

タイムも乾燥に強く湿気に弱いので、パースで育てやすいハーブの代表格です。横に広がって伸びていくので、鉢植えにしても素敵です。春には小さな花が咲き、新しい葉がどんどん出てきます。一方、冬になると一見元気がなくなりますが、枯れることはありません。

タイムにもたくさんの種類がありますが、料理用にはコモンタイム(Common thyme)が定番かつ万能です。

タイムには温かみと深みのある香りがあり、私はオーブン料理によく使います。野菜をオリーブオイルでからめてオーブンで焼くだけの料理でも、タイムを散らすと奥行きのある味になります。

■3種類目は、活用の幅が広いパセリです。

パセリを植える時期は秋が最適です。秋から冬は緩やかに成長し、春の終わりまで、葉を採り放題となります。初夏にはつぼみが出てきて花が咲き、葉が少なくなります。種を採っておけば秋にまくことができます。

パセリには大きく2種類があります。まずはイタリアン・パセリと呼ばれるタイプ。これはフラットリーフ(flat leaf)とも呼ばれ、葉が平らです。一方、カーリー・リーフ(curly leaf)と呼ばれるタイプは、いわゆる日本でおなじみの、お惣菜や食事の付け合せによく登場するパセリです。

冬は日当たりの良いところに置き、気温が上昇したら日陰に移すと長く収穫できますが、水が切れると枯れてしまうので注意が必要です。

どちらのパセリも、サラダのトッピング、肉料理の付け合せ、刻んでスープに散らすなど、あらゆる場面で彩りを添えるのに役立ちます。

■4種類目は、夏に楽しみたいバジルです。

バジルは夏に植えるのがお勧めです。初夏から初冬まで使えます。パースでは、タイバジル、レモンバジルなど、さまざまな種類が手に入りますが、幅広い料理に取り入れるならスイートバジルが良いでしょう。

初夏から真夏にかけてが育てやすい季節です。水は切らさないようにします。また、春は青虫に葉を食べられてしまうことがよくあります。気温が下がってくると枯れてきますが、種をとっておけば次のシーズンにまくことができます。

収穫した葉はペーストにしたりトマトソースのトッピングに使えます。摘みたては野菜感覚でサラダに入れることもできます。

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投稿者プロフィール

名取 知衣子
1973 年東京生まれ。2013 年から西オーストラリア州・パースに在住。夫、ハイスクールに通う長女、プライマリースクールに通う長男の4人家族。日本と異なる生活に試行錯誤するうちに、オーストラリアの豊かな食事情に興味を持つようになる。オーストラリアのローカル食材を使って日本人が手軽に楽しめる家庭料理を研究中。レシピをブログ「パースで手作りざんまい(http://perth-zanmai.com/)」で公開している。